想元紳市ブログ

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『レイチェルの結婚』

この映画の重苦しさは、好き嫌いがはっきり分かれそうだ。

姉の結婚式に出席するため、麻薬中毒の更生施設から退院してきたキム。
両親は離婚し、それぞれ再婚している。
結婚する姉も、妹のことや両親の愛情のことで、屈折した感情を抱えている。
花婿と花嫁の友人ですら、何やら、暗い陰を呈している。

つまり、ここに出てくる人はみなが、病んだものを心の奥底に抱えて生きている。

結婚式を挟んだ数日、家族はそれぞれ、ぶつかり、労りあい、拒絶し、受容し、を繰り返す。
縺れた感情の中心にあるのは、歳の離れた弟、イーサンの事故死である。
そして、その死に、どうやらキムが絡んでいるという事実。

キムを演じたアン・ハサウェイはまさに新境地の演技だ。

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ホームビデオのように撮影された映像は、ときにピントがずれ、ブレて画面が揺れ、無駄に動き、観る者に不安感をあおる。

長々と続く、ディシュウォッシャーにいかにうまく汚れた皿を並べるかを競うシーン。
食器のぶつかる金属音が、観ているだけで、神経を逆なでする。

花嫁の婚約者が黒人であること、父親の再婚相手も黒人系であること、インド風のエスニックな結婚式など、それらは、どことなく落ち着かない違和感を想起させる。

母親を演じたデブラ・ウィンガーの存在感は、やはり圧巻である。
特に感情をむき出しにした、キムとの衝突は本作の最大の見せ場だ。

そうした中、ひときわ際立ってくるのは、父親の弱さである。

娘の喧嘩を前に、子供のように泣く父親。
罵りあい、衝突する姉妹に比べ、父親は返す言葉すら持ち合わせていないのだ。

実際、自殺を試みるキムより、死に最も近いのは父親ではないかとも思える。

花嫁の結婚式でのスピーチ。

「父親は教えてくれた。人生の幸福をはかる基準は、どれだけ愛されるかではなく、どれだけ愛せるかだと」

物語が終盤を迎えても、家族の苦悩に出口が見えないのは辛い。


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