想元紳市ブログ

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『ゲイ官能小説短編集【男たちの旅】』

電子書籍『ゲイ官能小説短編集【男たちの旅】』を配信しました。

淫らで、せつなく、ときに残酷な、男たちの旅……。
30代の男4人を主人公に、それぞれの特別な旅を描いた4つの短編。

収録作のうち、『RAIN』『高校教師の罪』『父の秘密』の3作は書き下ろし。
『真夏のライトバン』のみ、G-men222号(2014年9月号)掲載作『真夜中のひまわり』を改題加筆修正したものです。

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【各作品のあらすじ】
1.『RAIN』
札幌転勤により、遠距離恋愛になって3年。東京に暮らす恋人・英夫の度重なる浮気が発覚し、ついに深刻な話をするため羽田に向けて飛び立った慎二。30歳を過ぎてようやく目覚めた慎二にとって英夫は初めての男であり、劇的な出会いを思い出すと気持ちは揺れ動く。そんなおり、機内で、隣に座る男から露骨な挑発を受け……。
(13000字)

2.『高校教師の罪』
高校の同窓会に初めて出席するため、故郷へと向かう達郎。達郎が所属していたラグビー部の顧問だった恩師・藤堂が来賓として出席すると耳にしたからだった。達郎が今もひきずる15年前の記憶と罪とは……。
(12500字)

3.『父の秘密』
長距離トラックの運転手をしながら、男手ひとつで息子を育てた父。いつも男らしく、強く、無口で恐かった……。ようやく社会人となり、東京で一人暮らしをはじめた息子が、初めての親孝行のつもりで連れていった温泉宿で見たものは……。
(8000字)

4.『真夏のライトバン』
仕事に疲れきっていたエリートサラリーマンの洋介が偶然出会ったのは、花屋を営む純粋で無邪気な青年・健太。真夏の海へのドライブ、ライトバンの中で汗だくの交わり。干乾びていた生活が一気に潤って……。ところが、海外出張から戻った洋介が見つけたのは、閉店の貼り紙がされた空っぽの花屋だった。
(15000字)



短編とは言っても、G誌掲載時の基本が12000字前後でしたから、それぞれそれなりの文量があります。

G誌は、少なくとも携わったラスト2年を知る限り、執筆ページ数、もちろん内容に関しても、比較的自由だったと思います。自分の場合、どうしても長くなってしまいがち。そんな中で、『真夏のライトバン』(原題『真夜中のひまわり』)は最も短かった作品です。編集部からおおよそのテーマで依頼された、唯一の作品だったためです。

その他の3作は、どれも未完成だったものを、このたび、短編集形式にする上で改めて着手。

ちなみに、販売している電子書籍サイトの一つでは、表紙に入れた『高校教師の罪』の「高」の文字にぼかしが入っていました。どうやらNGワードのようです。

Kindle↓


DLsite↓
ゲイ官能小説短編集【男たちの旅】

Digiket↓
[想元ライブラリー] の【ゲイ官能小説短編集【男たちの旅】】

■既刊分はこちら
『流刑の島』
『父と息子の裸祭』
『覗き・刺青の男』
『浪速親父の淫らな純情』
『黒潮―カツオ漁師の熱い夜』
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『ムーンライト』

本命と言われていた『ラ・ラ・ランド』をおさえ、アカデミー作品賞に輝いた『ムーンライト』を鑑賞。
両方観ると、自分には疑問を挟む余地もないほど妥当な選択だったと思える。

マイアミの貧困地区に麻薬中毒の母と住む、ナイーブなゲイの少年・シャロン。
唯一の友達はケヴィン。
この2人が、少年期から20代の大人になるまでを、それぞれ3人の役者が演じていくという3部構成だ。

タレル・A・マクレイニーによるパーソナルな戯曲を、長編2作目のバリー・ジェンキンスが監督。

マクレイニーもジェンキンスも、実際のロケ地にもなった同じマイアミの貧困地区出身であり、主人公のシャロンと似たり寄ったりの家庭で育ったという根幹を共有し合っていることが、本作の大きな力となっていることは間違いない。

もっとも、ジェンキンス自身はゲイではないらしいが。

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極度に内向的でイジメの対象であり続けたシャロンが、ある事件を介し、大きく変化して登場するのが、トレヴァンテ・ローズが演じる第3部だ。

痩せてひ弱だった外見が、強面の屈強なマッチョへと見違えるような変貌を遂げている。
多くのゲイにとって、筋肉とはそもそも、内面を覆う”隠れ蓑”であり、他者と向き合うときの”仮面”であったことを、あらためて思い出させる。

外見ばかりか、仕事は麻薬の売人である。
しかし、それら表向きの顔とは裏腹に、内面は少年の頃のままであり、幼馴染から始まったケヴィンのことを想う気持ちにも変わりはない。

ここに至って、本作が一人の少年の半生を描く物語であるばかりか、実は、この上なくピュアなラブストーリーだったことに気づかされるのである。

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突然、ケヴィンからの電話で再会する2人。しばらく微妙な距離を保ちながら、やがて邂逅し、心を通わせるシーンがとてもせつない。

その意味で、個人的には、第3部が最も好きだった。

全米を代表する陸上選手だったというトレヴァンテ・ローズの武骨さと繊細さを合わせもった演技も魅力的だが、 アンドレ・ホランドが演じる成熟したケヴィンが強く印象に残る。

このケヴィンの穏やかな存在感は、救い難い展開を見せる本作を優しく照らす、言わば”光”である。

シャロン少年の人生を大きく変えることになるドラッグの売人フアンを演じ助演男優賞に輝いたマハーシャラ・アリ、母親を演じたナオミ・ハリスももちろん秀逸だったのだが、自分はどこまでも静かにケヴィンを演じ切ったホランドに軍配をあげたい。