想元紳市ブログ

2015年06月 ≪  12345678910111213141516171819202122232425262728293031 ≫ 2015年08月
TOP ≫ ARCHIVE ≫ 2015年07月
ARCHIVE ≫ 2015年07月
      

≪ 前月 |  2015年07月  | 翌月 ≫

『フェイス・オブ・ラブ』

ひっそり公開されてさしてヒットもしなかった地味な映画であるが、自分はとても好きだと思った。

五年前に水死した夫・ギャレットのことが、未だ忘れられないニッキー。
ある日、美術館でギャッレットに瓜二つの男を見かける。
彼会いたさに美術館に足繁く通い、やっと大学で美術を教える画家であることを突き止める。
結果、二人は急速に魅かれ合うのだが……。

ニッキーを演じるのはアネット・ベニング、ギャレットと画家トムの二役を演じるのがエド・ハリス。となれば、上質で繊細な大人のラブストーリーは約束されたようなもの。
そもそも自分は以前から二人の大ファンなのである。

The-Face-of-Love-DI-1_convert_20160121182516.jpg

共にもう若くはなく、様々な経験を経て、人にわざわざ語ることもない重荷も背負っている。
トムがニッキーに言う。

「夜ベッドに入るとき、こう思う。また一日が終わり、また一年が過ぎてしまうと……。年を重ねるのは寂しくも怖くもない。だが、自覚するんだ、自分は晩年に向かっていると。人生、いい時もあれば、悪い時もある」

もう一人、近所に住むニッキーの友人、ロジャー。
彼もやはり妻に先立たれ、その喪失をニッキーと共有しあう仲であるが、彼女にそれ以上の感情を持っている。
せっかくロビン・ウィリアムズが演じ、深い陰影を感じさせる人物であるのに、描かれ方は明らかに中途半端に終わっているのが残念。

アネット・ベニングは、皺や肌の衰えをそのまま晒し、明らかに老いを感じさせるものの、それが実に美しく、魅力的に見えるのは、ハリウッドの大女優の中でも珍しい。

ニッキーはトムとの恋愛に溺れながら、ほとんど病的なまでに、真実を隠している。
まず、ギャレットとは死別ではなく離婚だと嘘をつく。また、トムとギャレットがそっくりな容姿であることも伝えない。
ついに、ニッキーの心の闇に気づいたトムは、苦渋の選択をする。
そしてラスト、秘密を抱えていたのは実はトムも同じであったことが、判明するのである。

切ない結末であるにも関わらず、決して後味が悪くないのは、アネットの素晴らしい演技で見せるニッキーの救いを、はっきりと予感させて映画が終わるからである。


スポンサーサイト