想元紳市ブログ

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『再見―裏切る夜【後編】』

電子書籍『再見―台北の男【前編】』に続く、『再見―裏切る夜【後編】』を配信しました。

台北と東京を舞台にした遠距離恋愛の行方、そして2人を取り巻く男たちの人間模様を描いた官能ラブストーリーの後編です。

再見3

【あらすじ】
 2010年夏の台北での出会いから、ようやく2人の距離が近づいたときに東日本を襲った大震災。
 ボランティアで来日したウェイと正式につきあうことになったものの、銀座の街で偶然出会った知人によってウェイの隠された過去を知ることになる。
 第三の男、さらに見え隠れする父親の不穏な動き。
 自分を見失った修一がとった行動は……。



本作にてG誌関連作はすべて配信終了です。G誌には休刊に至るまでのわずか2年弱の間、10作もの作品を掲載していただいのはとても幸運でした。

思い起こせば、初めてゲイ官能小説を書いてみようと思い立ったのは2013年前後。
実は、同時期に3つの異なるジャンルの作品を仕上げました。

G誌小説グランプリに応募する作品とは別に、某F書院の官能小説大賞のための男女もの、もう一つは某BL誌に応募する小説。

中でも最も執筆に苦労したのがBL小説です。
BLにはかなり厳格な決まり事があるらしいこと(例えばウケはこうでなくてはならないとか……)、特に「萌え」というものが、結局最後まで理解できないままでした。

もちろん、男女ものも執筆に時間を要したのは言うまでもありません。何しろ実際に見たことすらないものを事細かに描写するわけです。それでも、ノンケ男性独特のいやらしさを想像することは決して苦ではありませんでしたが。

結果、男女官能小説は最終選考に残ったものの落選。後日編集部から連絡があり、しばらくやり取りを続けていましたが最後はこちらから連絡を絶ってしまいました。やはり、男女の官能を書き続けることなどできないと判断したためです。

一方、BLの方も受賞作のところに名前はありませんでしたから、おそらく腐女子から受ける展開でなかったのは確かです。

ということで、優秀賞をいただいたG誌でその後も書き続けるようになったという次第です。

今後もゆっくりしたペースで新作を書いていきたいと思っていますが、その内容については迷いがあります。
官能色をより強めるのか、あるいは弱めるのか。
現状、エロ度が強ければ強いほど需要があるのは事実なのですが……さて。

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再見-裏切る夜【後編】

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[想元ライブラリー] の【再見―裏切る夜【後編】】

■既刊分はこちら
『流刑の島』
『父と息子の裸祭』
『覗き・刺青の男』
『浪速親父の淫らな純情』
『黒潮―カツオ漁師の熱い夜』
『ゲイ官能小説短編集【男たちの旅】』
『失踪の森【前編】―捜査一課・田所警部の憂鬱―』
『失踪の森【後編】―捜査一課・田所警部の覚醒―』
『父子男色酒蔵』
『再見―台北の男【前編】』
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『再見―台北の男【前編】』

電子書籍『再見―台北の男【前編】』を配信しました。

身勝手で自信家の男・修一が出張先で出会った純朴な台湾人の男・ウェイ。台北と東京を舞台に2人の5年に及ぶ遠距離恋愛の行方と破綻を描く官能ラブストーリー。

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【あらすじ】
 父親の経営するPR会社で副社長として働く西澤修一は、元ラガーマンの肉体と容姿に恵まれていることもあって自信に満ち溢れ、わがままで自己中心的な生き方に徹している。それは男遊びに関しても同様だった。
 そんな修一が、出張で訪れた台北で出会ったのが、純粋で素直な台湾人のリウ・ウェイ。単なるビジネス上の繋がりが、いつしか特別な関係へと変貌していくものの、修一の性格がそう簡単に変わるはずもなく。
 2010年夏の出会い、そして日本を揺るがす大災害が起こる2011年3月までの物語。



「再見」とは字の通り、See You Againの意味です。ハッピーエンドというわけではないものの、恋愛によって2人がそれぞれに成長していく姿が物語のテーマとなっています。

書き下ろしですが、正確には2016年初め、G誌編集部にまさに納品するタイミングで休刊の一報が届いたため未発表となっていた作品でした。

また、本作は編集部からだいたいのコンセプトで依頼されて執筆したものであり、そのため他の作品とはいくぶん趣が異なるものになっているかもしれません。そのような形は、本作ともう一作『ゲイ官能小説短編集【男たちの旅】』に収録した『真夏のライトバン(改題前:真夜中のひまわり)』のみです。

主な舞台を台北から東京に移し、2011年3月から2015年に至る2人のその後が描かれる【後編】は9月中旬の配信を予定しています。

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再見-台北の男【前編】

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■既刊分はこちら
『流刑の島』
『父と息子の裸祭』
『覗き・刺青の男』
『浪速親父の淫らな純情』
『黒潮―カツオ漁師の熱い夜』
『ゲイ官能小説短編集【男たちの旅】』
『失踪の森【前編】―捜査一課・田所警部の憂鬱―』
『失踪の森【後編】―捜査一課・田所警部の覚醒―』
『父子男色酒蔵』

『戦後短篇小説再発見2 性の根源へ』

戦後の優れた短篇をテーマごとに集めた同シリーズ第2巻のサブタイトルは「性の根源へ」。
坂口安吾や吉行淳之介、新しくは村上龍に至るまで、様々な形の性愛を描いた11作品が収録されている。

本書を最初に読んだのは、ゲイ官能小説を書こうと思い立った2013年頃。
フランス書院やBLの名作、団鬼六や宇能鴻一郎の作品、もちろんゲイ雑誌に掲載された著作を手当たり次第に読みふけった中の一冊だったけれど、あらためて再読してみると、やはりさすがの味わい深さである。

特に好きだったのが、河野多恵子の『明くる日』と野坂昭如の『マッチ売りの少女』。
共に、小説としての面白さはもちろん、ゲイから見て、男性が実に官能的に描かれている点が共通している。

『明くる日』は、子どものいない一組の中年夫婦の日常を綴った物語だ。
肺結核という妻の病気を理由にあえて子供をつくらなかったという事実と、実際は子どもができない体だったという事実の間で揺れる妻・央子と、夫・島田の微妙な関係が描かれる。

央子の視点で描かれるため、島田は脇役ではあるのだけれど、その言葉や行動はとても男性的であり、性的である。

『マッチ売りの少女』は、母親の情夫に強姦されたことをきっかけに、大阪・釜ヶ崎の街娼にまで身を堕とすお安が主人公。
軽い知的障害があり、名前も顔も知らない実父の面影を、自分を抱く男たちにひたすら重ね続ける姿は、せつなくも愛おしい。

父のイメージを重ねたいがため、お安は若い男ではなく、ひたすら中年以降の男を好む。
お安を抱く、大工の継父、ヒモの男、酔っ払いの親父らは、どうしようもなく下劣だけれども、なぜか抗い難い性的魅力を放っている。

日活ロマンポルノの名作『赫い髪の女』の原作として知られる、中上健次の『赫髪』も収録。


『父子男色酒蔵』

電子書籍『父子男色酒蔵』を配信しました。

老舗の酒蔵を舞台に、屈強な男たちだけで行われる酒造りと跡継ぎをめぐる人間模様。やがて父と子の隠された秘密が明らかになり……。

『G-men 232号(2015年7月号)』掲載作『男の水』を改題加筆修正したものです。

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【あらすじ】
 滋賀の近江に蔵を構える「岡田酒造」は、江戸時代から続く厳格な伝統にならい、女人禁制の男衆だけで粛々と酒造りを続けている老舗の造り酒屋である。
 仕込みから初搾りまで半年以上に及ぶ、寝食一緒の共同生活で最も大事なのが杜氏や蔵人ら男たちの絆であり、そのためなら肉体の奉仕や繋がりは当たり前……。
 そんな岡田酒造である日、仕込みの真っ最中に一人の蔵人が里に帰らざるを得なくなるという事態が発生……。急きょ、現在の十一代目蔵元の一人息子であり、5年前に仲たがいして兵庫の灘にある「北灘酒造」で働いている跡取を連れ戻す決心をする。
 そのためには、北灘の屈強な男たちに己の肉体を差し出すという大きな代償が必要だった。



昔ながらの職人の世界は、実に官能的だと思います。

それぞれの仕事に不器用なまでに人生を捧げ、長年の鍛錬により一つの技を極めた男たち……。
そんな男たちが、ある時に垣間見せる「性」は、極上のエロティシズムではないでしょうか。

もともとは酒蔵の一年を追ったドキュメンタリーを観て興味を覚えたのがきっかけですが、関連書物を読み進めるうちにいろいろと妄想をかきたてられる事実を知りました。

例えば、女性の血を嫌うという昔の慣わしから、一画への立ち入りを密かに禁じ続けている酒蔵がいまだに存在しているらしいこと。
また、床もみと呼ばれる蒸した米をかきまぜる工程では、職人たちが半裸状態で作業するところも決して珍しくないようです。(本作に描いた褌ひとつというのは創作ですが、江戸時代あたりではごく普通だったのではないかと推測しています。)

そんなこともあり、本作は、G誌に発表した拙作の中で最もリサーチに時間を要した小説でもあります。

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父子男色酒蔵

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[想元ライブラリー] の【父子男色酒蔵】

■既刊分はこちら
『流刑の島』
『父と息子の裸祭』
『覗き・刺青の男』
『浪速親父の淫らな純情』
『黒潮―カツオ漁師の熱い夜』
『ゲイ官能小説短編集【男たちの旅】』
『失踪の森【前編】―捜査一課・田所警部の憂鬱―』
『失踪の森【後編】―捜査一課・田所警部の覚醒―』

『神経衰弱ぎりぎりの女たち』

ペドロ・アルモドバルの作品の中で最も好きな『神経衰弱ぎりぎりの女たち』を久しぶりに鑑賞した。

50年代のVOGUEのような、コラージュした女たちのシルエットにスパニッシュポップスが被るタイトルクレジットから、いきなりアルモドバル・ワールドが全開。
やはり何度観ても、他のどんな映画に比べようもないほど、唯一無二の世界を持った作品だと思う。

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ストーリーはいたってシンプルだ。

音信不通になった同棲中の恋人イバンが旅に出るらしいと知って狂乱する女優のペパを中心に、イバンの他の女やペパの女優友達ら、エキセントリックな女たちが入り乱れてハチャメチャな騒動を繰り広げる。

嫉妬、妄想、不安や怒り……そんな他愛もない感情に突き動かされ、翻弄されるエゴイストな女たちは、ひどく滑稽でありながらもどこか可愛く、そして何より強い。

ここでは辻褄が合わないとか、そんな偶然起こりえないといった横槍は全く意味がない。

例えば、劇中こんなセリフがある。

「奇妙なことは突然起こる」
「物事は決して思い通りに運ばない」

生きていれば当たりまえのことを、アルモドバルはコミカルにデフォルメしているのである。

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ペパを演じたのは、アルモドバルの初期のミューズ、カルメン・マウラ。
エゴを貫き通す、狂った女の強さと弱さを見事に体現している。

アントニオ・バンデラスやロッシ・デ・パルマら常連が勢揃いし、風変りな個性を発揮しているばかりか、アルモドバルの手にかかると、電話交換手の女や薬局の店員ですら強烈な印象を残す。

自分にとって何よりもツボなのは、イバンの昔の恋人ルシアだ。
奇妙なファッションとヘアメイクに負けないぐらいの異常キャラである。
イバンの浮気に心を病んで入院していた病院から出てきたばかりという設定であり、ペパと同じくイバンを探して、大事件を引き起こす。

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痛烈なドタバタコメディであることに間違いはないのだが、実は裏に骨太のテーマが隠れている。
それを象徴するのが、映画の冒頭に置かれた、ペパのモノローグだ。

「崩れかける世界で、私は自分と世界を救おうとしていた。まるで”ノア”だ。すべての動物をカップルで救ってやりたかった」

神経をすり減らすような混沌を極める世界の中で大事なことはいったい何なのか。

極端に振り切った女たちの姿から伝わってくるのは、意外にも、無様な人間の放つ愛おしさと大いなる女性賛美である。